当科で可能ながん種別の放射線治療の適応
- 肺がん、乳がん、膵がん、食道がん、喉頭がん、咽頭・鼻のがん、甲状腺がん、悪性リンパ腫、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん、前立腺がん、膀胱がん、腎がん、大腸がん、肝臓がん、胆のう・胆管がん、胃がん、脳腫瘍、皮膚がん・悪性黒色腫、小児脳腫瘍、小児固形腫瘍
前立腺がんに対する当科で実施可能な放射線治療
①根治的放射線治療
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限局性の前立腺癌は、根治的治療の手術療法あるいは放射線治療のいずれかを選択することで、他のがん種と比較し良好な予後が期待できます。
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治療後の生存率は良好で、どちらの治療法も差を認めません。主に副作用の違いや、治療期間中の日常生活や仕事への影響などを考慮し、治療法を選択頂いています。
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放射線治療の主なメリット
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強度変調放射線治療: IMRTは、通院治療 (総4~8週間)が可能であり日常生活や仕事への負担が比較的少ないです。
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手術療法で生じうる神経障害に伴う排尿障害(尿漏れなど)・性機能障害(勃起不全)のリスクがないです。
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放射線治療の主なデメリット
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手術療法では生じない直腸や膀胱障害(主に血便や血尿)が、治療1-2年後以降に約5%の方に生じるリスクがあります。経過観察ですむ場合が多いですが、内視鏡によるレーザー凝固止血術まで必要となる場合(1~2%程度) があります。
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低リスク群
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強度変調放射線治療: IMRTあるいは永久刺入密封小線源治療のどちらも選択できます。
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永久刺入密封小線源治療は、チタン製カプセル内にI-125という放射性物質を密封した線源を超音波ガイド下に、前立腺に直接挿入する方法です。
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線源は永久的に留置され、非常に低いエネルギーの放射線を約1年間出し続けるため、前立腺に連続的な照射が可能となります。
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周囲に対する放射線の影響はほとんどありません。通常4日間程度の入院で終わるため、早期の社会復帰が可能です。
中・高リスク群
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ホルモン療法と併用し、強度変調放射線治療: IMRTを行います。
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高リスク群では、再発率の低減を目的に、温熱療法の併用が選択可能です。
②手術療法後の再発予防・救済を目的とした放射線治療
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手術で摘出した前立腺がんの遺残がある場合、生化学的再発または局所再発を生じた場合に、再発予防・救済を目的とした放射線治療を行います。
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外部照射(強度変調放射線治療: IMRT)で行います。
③オリゴ転移例の前立腺への放射線治療
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少数個の遠隔転移(主に骨転移)を伴う場合、ホルモン療法に加え前立腺への放射線治療の追加を選択することが可能です。
④オリゴ転移に対する救済的放射線治療
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少数個(1~3個)の骨転移、肺やリンパ節転移などが対象となります。
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薬物療法に加えて救済的放射線治療を実施することで、治療した腫瘍の高い制御効果が期待できます。
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5cm以下の少数個の骨転移や肺・肝転移(オリゴ転移) に対しては、定位放射線治療 (ピンポイント照射)が選択でき、より高い腫瘍の制御が期待できます。
⑤緩和的放射線治療
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他の臓器へ多数個の転移を生じている状況では、緩和的な放射線治療が適応となり得ます。
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前立腺がんによる排尿障害の改善、血尿の止血や疼痛の鎮痛、また骨転移に伴う疼痛の鎮痛、神経症状の改善といった症状緩和に有効性が高いです。
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緩和的放射線治療に必要となる放射線量は少ないため、治療に伴う副作用は軽微です。
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治療期間は3週間以内が多く、状況に応じて1回のみの治療も選択可能です。
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通院が困難な方は、放射線治療科で入院治療も対応させて頂きます。
⑥温熱療法 (ハイパーサーミア)
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当院では、前立腺がん(主に高リスク群や再発例)に対して放射線治療の治療効果を高める温熱療法を取り入れています。
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がんの存在する領域の皮膚表面を2方向からパットで挟み込み高周波電流を流して加温します。パッ ト内の液体を還流させ、皮膚表面の熱感や痛みを抑えます。
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1回の加温時間は40~60分程度で、週に1~2回、放射線治療を行っている期間中に総5回程度行います。
前立腺癌で実施するIMRTの線量分布です。
前立腺に近接する直腸や膀胱の照射線量を低減します。